日本国内において、ゴルフを本格的に楽しみたいと考える人々の間で、長年取引されてきた仕組みに「ゴルフ会員権」というものが存在する。その取得は単なるスポーツ利用の枠を超え、特定のゴルフ場を安定して利用できる権利だけでなく、場合によっては資産運用やステータスの象徴としての側面も含む。特に預託金方式を取るゴルフ会員権は、取得時に高額の金銭を支払う体系が広く見られるため、その返還に関するトラブルや相談も多い。預託金は会員権の取得時にゴルフ場経営会社などに対して払い込む金銭であり、名義上は退会時に返金される建前となっている。その額はゴルフ場ごとに異なり、数百万円から数千万円に及ぶこともあるが、この預託金は共通して無利息預かり金と位置付けられ、運用益や金利は生じない。
また、返還については、一定の据置期間が設定されている例が多く、新参会員がすぐに全額返還を要望しても認められないことが通例だ。次に、実際の返還の流れだが、まず会員が退会の意思を示し、所定の手続書類を提出するところから始まる。多くの場合、会員権の譲渡や売却が先行して行われ、その後に退会届けや預託金返還の請求が受理される。ところが、ここで留意すべき点が存在する。ゴルフ場の財政状況や運営方針の変化、預託金を運用する仕組み自体の問題から、返還請求後すぐに全額返済が実行されないケースが発生している。
現実には、ゴルフ場側が十分な資金を蓄えていないことや、新規会員からの預託金で従来会員分の返還資金をまかなうなど、不安定なキャッシュフローに依存している場合がある。このため預託金トラブルの一例として、期日に予定額が返金されず、訴訟に発展したり消費者団体へ相談が寄せられたりする事例が報告されている。また、払い戻し額自体の減額を一方的に通告されたり、場合によっては長期間据え置きの名目で返金時期が明示されないこともある。そのため、ゴルフ会員権を取得する場合や退会・返還請求を検討する際には、事前にゴルフ場の財務体質や預託金管理の方針、過去のトラブル件数など情報収集が不可欠となる。日本国内ではバブル以前よりゴルフ人気と共に会員権市場が拡大し、多くのゴルフ場で預託金方式を採用していた経緯がある。
しかし人口やゴルフ場プレイ人口の変動、市場価格の下落等による会員権市場全体の価値減少を背景に、預託金の返還リスクが顕在化した背景があった。また、会員増加時にはスムーズな運営が可能であったものの、その後の人口減少や新規会員獲得の伸び悩みといった環境変化が、返還トラブルを招く素因ともなった。一方、プレーヤー側には預託金が一種の「預け金」という認識が一般的ですが、これはゴルフ場ごとの会則や契約書等で細かく条件付けされており、法的整理によりあくまで返還請求権の扱いであったり、経営悪化時に債務整理の対象となる場合がある。すなわち、必ずしも全額の迅速な返還がなされる保証はどこにもなく、「資産」として過度な信頼を置いてしまうことは危うい。実際、過去に民事再生や会社更生手続きによりゴルフ場経営が再建中、会員権預託金の大幅減額や分割払いが行われた例も見られる。
では、預託金型のゴルフ会員権を持つ際に注意すべき点は何か。まず契約内容の入念な確認が必要となる。返還請求権の具体的な期限や条件、据置期間がどの程度か、また経営上の重大な債務問題発生時の対応について明記されているかも重要なチェック項目だ。また、ゴルフ場自体の運営規模や地域での集客力、会員権取引の過去実績なども、将来的な返還や譲渡の難易度に関係してくる。社会通念としては、ゴルフ会員権は単なる施設利用の資格というより、預託金の取り扱いまで含めた法的かつ経済的な契約物であるという点を学ぶ必要がある。
自身が会員権を保有している、あるいはこれから入手しようという人にとって、預託金及びその返還がゴルフ場利用・資産整理両面で重要な費目となりうることは間違いない。関連する法制度の改定動向にも注意を払いつつ、無用なトラブルを回避するためには契約締結前の十分な調査と自身の資金計画を固めることが有効といえる。最後に、ゴルフ会員権と預託金、そして返還制度の仕組みについて正確な知識を持ち、会員権取得や譲渡などライフプランの中の重要な選択に失敗のないよう、慎重な意思決定が求められると言えるだろう。ゴルフ会員権のうち、預託金方式は日本国内で長年普及してきたが、取得時に高額な金銭をゴルフ場へ預ける仕組みには注意が必要である。預託金は無利息で据え置かれ、退会時に返還が建前とされるものの、実態はゴルフ場の財務状況次第でスムーズな返金が行われないケースが多発している。
返還請求には会員権の譲渡や必要書類の提出が伴い、返金までの期間や条件はゴルフ場ごとに異なるほか、経営悪化時には返還そのものが著しく制限されたり減額されたりするリスクもある。このため、ゴルフ会員権取得や売却を検討する際には、契約書や会則で返還条件や据置期間、対応策などを詳細に確認することが不可欠である。また、ゴルフ場の財務状態や運営の信頼度、市場での会員権価値の推移にも注意を払う必要がある。バブル期以降の市場縮小や経営破綻例からも、預託金は単なる「資産」とは見なせない実情があるため、過度な期待を避け、リスクも十分認識した意思決定が重要となる。今後も法制度やゴルフ場経営環境の変化に留意し、契約締結前には情報の精査と資金計画をしっかり立てておくことが、不要なトラブル回避につながる。